開催にあたって
蜂巣もも – 鳥公園ワークショップ2021〈黒田夏子『abさんご』ひらがなで語る〉
『abさんご』は数多くのひらがなを用いて書かれています。 わたしはそれらを黙読するとき、理解することに時間がかかるため、読みにくいように思います。わざわざひらがなで書いた作者の意志のようなものも感じられます。 それに対して、文中の漢字は、一旦の理解をすぐに許してくれて、休憩所のような、次のひらがなを思考するためステップのように思えます。
またこの作品を読み始めると、なぜか中身をいくらも読んでいないうちから語り手が女性であり、作者である黒田夏子さんだと思い込みます。ひらがなが元初、女性が書くものとされていたからでしょうか。それとも丸い文字感が女性的だという、古い考えに縛られているからでしょうか。現代でも方言を表記するとき、ほとんどがひらがなで表記されます。文字化するとそれらは飾りのようにも思えますが、コミュニケーションの一部として絶対的に必要とされたなにかでもあります。『abさんご』が使うひらがなにおいても、なにか絶対的に必要とされた場の可能性を感じて止みません。
このひらがなの数珠つなぎを、演技という行為・行動を元にして、とことん詳しく知りたいと思います。演技という作業は、誰が誰に語っているものか、どんな態度で何を見ているのか、はっきりさせていくもので、演劇のためだけでなく、文章の在り方自体を問う装置にもなりえるからです。
『abさんご』のひらがなと漢字の箇所を、作者の意図した行為の現れとして、ひとつひとつの言葉を舐めるように丁寧に読み取って、仮説を立てながら実行します。
参加者は俳優に限りません。文体に興味を持つあらゆる方に知恵を貸してもらいたいと思っています。 ただし演劇やダンスなど、舞台芸術を見る経験が3年以上ある方に限ります。 実力の一定基準はなく、自分の視点や思考に自信を持って他人と対等に「なぜ?」や「もしや…」を大事にできること。また、同じく他人の「なぜ?」や「もしや…」に、身軽に便乗し、深堀りできることを重要視します。演技が得意でなくても構いません(むしろ不得意、ウェルカム)ので、ぜひご参加ください。(蜂巣)
日程
2021年
12月10日(金) 18:00~21:00
12月11日(土) 13:00~16:00
12月12日(日) 13:00~16:00
12月17日(金) 18:00~21:00
12月18日(土) 13:00~16:00
12月19日(日) 13:00~16:00
開催概要
対象
・上記の日程に全日程参加できる方
・黒田夏子『abさんご』の文体に興味のある方
・舞台芸術を見る経験が3年以上ある方
※俳優経験は問いません。
活動内容
・そもそもabさんごの「演技」とはなにを遂行することなのか、積極的に分析、俯瞰し、感覚を言語化して考える。一文ずつに注目して、思考の流れを読み解く。その後、その思考を「演技」に体系立てて落とし込む。
・毎日の終わりに、各々次の日実行する仮説を決めてみる。
・最終目的:上演に対して重要となるであろうキーワードを一つ発見する。
募集人数
6名
※応募者が定員を超過した場合は、選考を行います
参加料金
1000円
会場
都内某所で実施
※参加が決定された方に詳細をご連絡します
使用テキスト
黒田夏子『abさんご』(文藝春秋/文春文庫)
※テキストは各自ご用意ください。単行本、文庫版、電子書籍版のいずれでもかまいません。
※初日12/10までに、全体に目を通しておいてください。
注意事項
・本ワークショップは、今後のクリエイションや公演に繋がる企画です。ワークショップ期間中に共有されたアイディアを、この先のクリエイションに活用する可能性があります。
・ワークショップの様子を一部撮影し、鳥公園の活動記録として使用します。
・本ワークショップは鳥公園のメンバーが見学する可能性があります。 ご参加にあたっては、上記三点を予めご了承ください。
お申し込み方法
こちらの応募フォームからお申込みください。
※フォームの記入内容は以下です
(1)お名前(フリガナ)
(2)連絡先メールアドレス
(3)略歴
(4)過去作品のHPや映像資料があれば(URL)
(5)このワークショップで期待していること
(6)注意事項の確認
(7)スケジュールに関して、遅刻、早退がある方はご相談ください
応募締切
2021年11月30日(火)
選考結果
2021年12月3日(金)
お問い合わせ
info.birdpark(a)gmail.com