企画概要
鳥公園の公開相談会Part2
創造活動を豊かにするためのリソースに関する公開相談会
2023年10月29日(日)〜2024年1月28日(日)全6回 オンライン実施
鳥公園では、演劇作品の上演にとどまらない様々な活動を行っています。しかし、私たちの活動には常に持続可能性の問題がつきまとってきました。その根底にあるのは、慢性的なリソース不足です。数多くの小さな芸術団体やアーティストの皆さんが、同じ問題に頭を悩ませているのではないでしょうか。
「創造活動を豊かにするためのリソースに関する公開相談会」では、資金、作品、人、組織、コミュニティ、創作メンバーの健康など、有形無形の様々なリソースをどのように生み出し、整え、活用し、そして健全に発展させていけるのか、鳥公園が様々なエリアのエキスパートや実践者に相談してヒントをもらいます。そして、それをオンラインで公開開催することで、同じ悩みを抱えている芸術団体の皆さんと知識を共有します。
各回のテーマとゲストは、
①レパートリー/前原拓也氏(ドラマトゥルク・翻訳家)
②営利事業と公共性/影山知明氏(クルミドコーヒー/胡桃堂喫茶店 店主)
③権力・暴力と集団マネジメント/酒井隆史氏(大阪公立大学、社会思想史、都市史)
④ファンドレイジング/伊藤麻里子氏(日本ファンドレイジング協会、認定ファンドレイザー)/今野真理子氏(公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京、活動支援部 相談・サポート課 講座係長)
⑤創作活動における心身の健康/森崎めぐみ氏(俳優・一般社団法人日本芸能従事者協会代表理事・全国芸能従事者労災保険センター理事長)、佐藤憲氏(スタントマン/株式会社アッシュネクストプロモーション代表取締役)、湯淺晶子氏(保健師、第1種衛生管理者)、臨床心理士(東京海上日動メディカルサービス株式会社委託)
⑥海外の活動事例/June Tan氏(Five Arts Centreメンバー)
です。(各回の詳細とゲストのプロフィールは本ページ下部に掲載。)
各回とも、前半は鳥公園メンバーが聞き手となってゲストのお話をうかがい、後半は視聴されている方々からの質問を受け付けます(数と時間には限りがあります)。この公開相談会が、みなさんそれぞれの状況に合わせた持続可能な運営モデル構築のヒントになれば、こんなに嬉しいことはありません。
日程・テーマ・ゲスト
第1回「リソースとしてのレパートリー」
日時=2023年10月29日(日)19:30〜21:30
ゲスト=前原拓也(ドラマトゥルク・翻訳家)
聞き手=西尾佳織、若旦那家康(演劇団体「コトリ会議」)
第2回「営利事業から生まれる公共性」
日時=2023年11月12日(日)19:30〜21:30
ゲスト=影山知明(クルミドコーヒー/胡桃堂喫茶店 店主)
聞き手=西尾佳織、五藤真(鳥公園お盆部)
第3回「歴史から学ぶ集団における権力・暴力と集団マネジメントのあり方」
日時=2023年11月26日(日)19:30〜21:30
ゲスト=酒井隆史(大阪公立大学、社会思想史、都市史)
聞き手=西尾佳織、筒井潤(演出家、劇作家、大阪を拠点とする公演芸術集団dracom(ドラカン)のリーダー)
第4回「サポーター・コミュニティの形成とファンドレイジング」
日時=2023年12月10日(日)19:30〜21:30
ゲスト=伊藤麻里子(日本ファンドレイジング協会、認定ファンドレイザー)
今野真理子(公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京、活動支援部 相談・サポート課 講座係長)
聞き手=西尾佳織、奥田安奈(鳥公園お盆部)
第5回「創作活動における心身の健康と専門家の活用」
日時=2024年1月9日(火)18:00〜20:00 ※この回のみ曜日と開始時間が異なります
ゲスト=森崎めぐみ(俳優・一般社団法人日本芸能従事者協会代表理事・全国芸能従事者労災保険センター理事長)
佐藤憲(スタントマン/株式会社アッシュネクストプロモーション代表取締役)
湯淺晶子(保健師、第1種衛生管理者)
臨床心理士(東京海上日動メディカルサービス株式会社委託)
聞き手=西尾佳織、奥田安奈(鳥公園お盆部)
第6回「海外の事例に学ぶ作品発表をゴールに置かない活動のあり方と団体の運営」(特別回・逐次通訳あり)
日時=2024年1月28日(日)19:30〜22:00
ゲスト=June Tan(Five Arts Centre)
聞き手=西尾佳織、和田ながら(演出家、したため主宰)
通訳=田村かのこ(Art Translators Collective)
開催情報
視聴料
・6回通し券:5,000円
・1回券(第6回の特別回除く):1,000円
・第6回(特別回)のみ:1,500円
視聴申し込み
https://soudan2023.peatix.com/
配信方法
Zoomウェビナー
※各回とも原則として申し込み受付は実施日の2日前まで。
※アーカイブは購入者のみ期間限定で視聴可能。
※各回の終了後に、鳥公園メンバーが所感をnoteに記載します。これらは無料で読むことができますが、あくまでメンバーの主観的な捉え方であり、ゲストトークの内容を概観してまとめたものではありません。
お問い合わせ info.birdpark[at]gmail.com
企画・運営=鳥公園
助成=おおさか創造千島財団
各回詳細とゲスト・プロフィール
第1回「リソースとしてのレパートリー」
ミュンヘンに留学中のドラマトゥルク・翻訳家の前原拓也氏を迎え、ドイツの公共劇場におけるレパートリー制やそのシステムにおけるドラマトゥルクの働きについて伺います。日本の舞台芸術では多くの団体が新作の創作と上演を中心として活動していますが、全てをゼロから構築する新作を作り続けることは、団体の疲弊につながります。欧州では多くの団体が、新作のみに頼らずにレパートリーを活用しています。レパートリーの上演は、ゼロから創作しなくて良いという点で準備段階の時間や労力やお金をセーブすることが可能であり、また本来なら、過去の実績からチケット収入の見通しも立ちやすいはずです(新作主義の日本では、その限りではありませんが)。レパートリー制が成立している欧州と、そうではない日本では、そもそも観客が舞台作品に求めているものからして異なる部分があるのかもしれません。レパートリー制が成り立つ土壌はどのようにして生まれているのか。欧州でのレパートリー構築・上演の実際を伺いつつ、鳥公園のような日本の小規模演劇団体がどのようにレパートリーを作り、活動を支えるリソースとして活用していくことができるのか探ります。聞き手には、演劇団体の「コトリ会議」の若旦那家康氏に加わって頂きます。
ゲスト
前原拓也 ドラマトゥルク・翻訳家
1992年生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科独文学専攻修士課程終了。2018年から2022年まで合同会社syuz’genで勤め、舞台芸術の制作業務を行う傍ら、フリーランスとしてドラマトゥルク・翻訳家として活動する。2022年9月より、文化庁新進芸術家海外研修制度で2年間ミュンヘンに滞在し、アウグスト・エヴァーディング演劇アカデミーのドラマトゥルギー科修士課程にて学んでいる。ドラマトゥルクとして携わった主な作品に、『テイストレス』(構成:田村友一郎)、『ウリッセの帰還』(演出:小野寺修二)、『リナルド』(演出:佐藤美晴)、『ハッピーな日々』(演出:蜂巣もも)がある。 写真 @Christian Hartmann
聞き手
若旦那家康
コトリ会議所属の俳優/制作。大阪市立芸術創造館演劇担当非常勤。大阪出身・大阪在住。
神戸大学在学中から小劇場での活動を開始し、出演だけではなく演出助手や舞台監督などを経て現在は制作業を中心に舞台芸術を盛り立てようとしている。活動のモットーは地域間と世代間とをつなぐこととし関西圏外の作品にも積極的に参加する。劇団制作から単発の演劇公演の制作以外にも、ワークショップフェスティバルDOORSや、ストリートシアターフェスティバル“ストレンジシード静岡”などの演劇祭のプログラム制作を手がけている。
第2回「営利事業から生まれる公共性」
日本の舞台芸術界の小団体のほとんどは、収入をチケット収入と助成金に頼っているのが現状ですが、経営の安定化のためには収入源の多角化が必要です。この回では収益事業の可能性と、その事業を軸に「パブリック(public=公共)」を構築していく方法を探ります。収益を上げながら、芸術業界内外の人々が共に未来や社会について考える公共的な集まりをつくりたい。それにはどうしたらいいでしょう? 芸術業界の外に目を向けると、民間の営利事業が高い公共性を獲得している例は決して少なくありません。そこでこの回では、その好例といえる東京都・西国分寺のクルミドコーヒー/胡桃堂喫茶店を拠点に、地域の人々と様々な事業を展開されている影山知明氏をゲストにお迎えし、お話を伺います。
ゲスト
影山知明 クルミドコーヒー/胡桃堂喫茶店 店主
1973年東京都・西国分寺生まれ。大学卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニー社を経て、独立系ベンチャーキャピタルの創業に参画。その後、株式会社フェスティナレンテとして独立。2008年、生家を建て替え、多世代型シェアハウス『マージュ西国分寺』を開設。1階には、こどもたちのためのカフェ『クルミドコーヒー』を開業。2017年には、2店舗目となる『胡桃堂喫茶店』をオープンさせた。
店を拠点として、まちの仲間と共に、クルミド出版、胡桃堂書店、クルミド大学、地域通貨ぶんじ、ぶんじ寮等を事業化。
著書に『ゆっくり、いそげ ~カフェからはじめる人を手段化しない経済~』(大和書房)。
第3回「歴史から学ぶ集団における権力・暴力と集団マネジメントのあり方」
舞台芸術は集団で行う創作活動であり、集団マネジメントから逃れることが出来ません。それゆえ、主たる構成メンバーが集団内でパワー(権力)が発生するメカニズムを理解し、その権力を自覚し、集団の運営の健全化やポジティブな変化のために適切に用いることが必要です。この回では、暴力の系譜をたどった『暴力の哲学』の著者である酒井隆史氏をゲストにお招きし、権力が生じるメカニズムやパワーを「ポジティブ」に活用することの困難さを、人類の歴史から学びます。少し遠回りなようではありますが、マネジメントのhow to本に頼るという近道を取るよりも、集団で発生する権力に関する思考を各々が鍛える方が、多種多様な芸術集団に応用が可能だと、鳥公園は考えました。公演芸術集団「dracom」リーダーで劇作家・演出家の筒井潤氏に、聞き手として参加して頂きます。
ゲスト
酒井隆史 大阪公立大学教員、社会思想史、都市史
著作には、『賢人と奴隷とバカ』(亜紀書房、2023年)、『通天閣』(青土社、2011年)、『完全版自由論』(河出文庫、2019年)、『暴力の哲学』(河出文庫、2016年)、『ブルシット・ジョブの謎』(講談社現代新書、2021年)、訳書には、デヴィッド・グレーバー+デヴィッド・ウェングロウ『万物の黎明』(光文社)、ピエール・クラストル『国家をもたぬよう社会は努めてきた』(洛北出版)、マイク・デイヴィス『スラムの惑星』(監訳、明石書店)、デヴィッド・グレーバー『ブルシット・ジョブ』(岩波書店、共訳)、『官僚制のユートピア』(以文社)、『負債論』(監訳、以文社)など。
聞き手
筒井潤
演出家、劇作家。大阪を拠点とする公演芸術集団dracom(ドラカン)のリーダー。2007年京都芸術センター舞台芸術賞受賞。2014〜16年セゾン文化財団シニアフェロー。dracomとしてSound Live Tokyo 2014、NIPPON PERFORMANCE NIGHT(デュッセルドルフ)、東京芸術祭ワールドコンペティション2019などに参加。dracom以外にはDANCE BOX主催『新長田のダンス事情』(TPAM2014参加)で演出、ルリー・シャバラ『ラウン・ジャガッ:極彩色に連なる声』(KYOTO EXPERIMENT 2021)では空間演出を担当。他に山下残、維新派、akakilike、悪魔のしるし、ホー・ツーニェン、荒木優光などの公演や作品に参加。
第4回「サポーター・コミュニティの形成とファンドレイジング」
日本の芸術団体の多くは、助成金とチケット収入に収入源を依存していますが、この状況は団体運営の安定化を妨げていると私たちは考えています。なぜならば、助成金収入もチケット収入も必ずしも期待した通りに入ってはこないからです。助成金に採択されなかったりチケット収入が予想を下回った際には、そもそも多くはない団体の蓄えから拠出したり、主宰者が負債を背負ったりしますが、最悪の場合には資金が底をついて活動の継続が不可能となります。鳥公園は過去にクラウドファンディングを行い、多くの方のご支援でアソシエイトアーティストとの3年間の活動を支えて頂きました。金銭的な助けという意味でも、また自分たちの活動に寄せていただいた期待に応えようとする精神的な張りという意味でも、非常に大きな意味合いがありました。その一方で、クラウドファンディングは活動の体制変更という「とても大きな一度きりの区切り」に向けて実施しましたが、3年を経て、今後も私たちの活動は続きます。この経験を今後に活かしていくために、より深いファンドレイジングの理解が必要だと考えました。この回では、団体運営を安定させるために必要なファンドレイジングと、それを支えるために欠かせないサポーター・コミュニティの形成について、日本ファンドレイジング協会の伊藤麻里子氏とアーツカウンシル東京の今野真理子氏をお招きし、専門家の視点からお話を伺います。
ゲスト
伊藤麻里子
コミュニティナースカンパニー株式会社 プロジェクトマネージャー。
認定特定非営利活動法人日本ファンドレイジング協会 社会的インパクトセンター プログラム・ディレクター。
2011年より某大手化粧品メーカーにて首都圏での国内営業経験を積んだ後、青山の国連大学にて副学長の専属アシスタントとして外国人研究員のための研究資金調達サポート業務等に従事。2014年からは公益財団法人日本音楽財団に勤務、クラシック音楽事業の企画と運営、助成金・資金調達・新規事業企画を担当。富裕層の資産管理を専門とする民間企業にて国内外様々な企画のプロジェクト・マネージャーを務めた後、2020年からは公益財団法人日本財団にて日本における新しい寄付文化醸成モデル構築に従事。2023年8月よりコミュニティナースカンパニー株式会社及び認定特定非営利活動法人日本ファンドレイジング協会に参画。認定ファンドレイザー、認定フィランソロピー・アドバイザー(米国)。
ゲスト
今野真理子
公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京
活動支援部 相談・サポート課 講座係長
東京都立芸術高校美術科油絵コース卒業、東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻(版画)修了後、英国ウォーリック大学大学院欧州の文化政策と運営学ディプロマ修了。ダンス・カンパニーでの制作アシスタントを経て、国際文化交流機関、国際舞台芸術祭、国際美術展、公共劇場等にて文化事業の企画制作運営や助成プログラム運営に関わる。2014年4月よりアーツカウンシル東京に入職。助成プログラムや人材育成事業(アーツアカデミー)の運営を担当、2023年4月からは同年10月オープンの東京芸術文化相談サポートセンター「アートノト」の講座事業企画運営に主に取り組んでいる。https://artnoto.jp/
第5回「創作活動における心身の健康と専門家の活用」
日本のアート・エンタテインメント業界では、作品創作が最優先とされ、関わる人たちの心身の健康は、残念ながら二の次になっていることが多いのが現状です。しかし創作活動に関わる人々が心身ともに健やかであることは、活動を持続可能にするために必要不可欠で最も優先されるべきことです。その実現のために、鳥公園では必要に応じて心理職などの専門家に頼ることも視野に入れていきたいと考えています。この回では、全国芸能従事者労災保険センターや「芸能従事者こころの119」を開設するなど、アート・エンタテインメント産業に従事する人々の心身を健康に保つための仕組みづくりに尽力されている、俳優で一般社団法人日本芸能従事者協会代表理事の森崎めぐみ氏、全国芸能従事者労災保険センターの代議員で、事故防止や安全対策に努めているスタントマンの佐藤憲氏、日本芸能従事者協会の安全衛生推進アドバイザーで保健師の湯浅晶子氏、そして「芸能従事者こころの119」の委託先である東京海上日動メディカルサービス株式会社より臨床心理士の方をお迎えして、お話を伺います。
ゲスト
森崎めぐみ 俳優/一般社団法人日本芸能従事者協会代表理事。全国芸能従事者労災保険センター理事長
共立女子大学非常勤講師。映画「人間交差点」で主演デビュー後、黒沢清、是枝裕和などの監督作品に出演。TV「暴れん坊将軍」「相棒」など多数出演し、舞台「必殺仕事人」にヒロイン役主演。代表作に国際ゆうばり映画祭ファンタランド大賞受賞作、ドービルアジア国際映画祭・ドイツマンハイム国際映画祭など正式出品「CHARON」カロン役主演。
著書に季刊労働法「芸能従事者の安全衛生と労災補償」、労働の科学「芸能従事者の今」連載。
2022年公益財団法人パブリックリソース財団「女性リーダー」受賞。文化庁文化芸術分野の適正な契約関係構築に向けた検討会議委員。
ゲスト
佐藤憲 スタントマン/株式会社アッシュネクストプロモーション代表取締役
長崎県諫早市出身。20代からアクション俳優・スタントマンとして、テレビ・映画・舞台などで多くの作品に出演。30代からは古流武術を学び、体術・剣術・棒術・鎧組討なども修得。
2009年から本格的にカースタントに復帰。撮影現場と並行してスケアードストレート方式による交通安全教室にも携わり、全国の中学、高校での実演を多数経験。
2016年に株式会社アッシュネクストプロモーションを設立。拠点を九州に移し、西日本を中心にスケアードストレート方式による交通安全教室を展開してきた。
2020年からは熊本を拠点として活動する「096k熊本歌劇団」のアクション・殺陣指導も担当。後進の育成にも力を入れている。
ゲスト
湯淺晶子 保健師,第1種衛生管理者
約20年間、保健師として、過重労働対策、メンタルヘルス対策・自殺対策、生活習慣病対策など、労働衛生・産業保健全般に携わる。
現在は大学教員として、看護基礎教育、保健師養成、ならびに研究に従事。研究テーマは「芸能従事者への産業安全保健の適用」、「高年齢労働者の労災事故防止」、「障がい者の雇用と就労」。主な論文として「家業である歌舞伎俳優を継ぐ者たちにとっての健康;探索的ならびに質的記述的研究」(2021)。博士論文のテーマは「歌舞伎俳優の“健康”の言説-産業安全保健との接点を求めて-」(2022)。月刊誌『労働の科学』で「歌舞伎に生きる人たち」を不定期連載中。https://researchmap.jp/akiko_1120
ゲスト
臨床心理士 委託先 東京海上日動メディカルサービス株式会社
東京海上日動メディカルサービス株式会社は、1987年に設立され、こころと体の健康についてトータルサポートサービスを提供している会社です。メンタルヘルス支援サービスでは、ストレスチェックの実施や分析をはじめ、個人への心理カウンセリングや、多くの企業様の人事部門へのコンサルテーション、セルフケア研修や管理職層へ各種研修等の提供、さらにメンタルヘルス不調による休復職者支援サービスを展開し、組織と個人をワンストップでサポートしております。医療機関や教育機関等で研鑽を積んだ経験豊富な臨床心理士が30名以上在籍し、日々起こる様々なジャンルの悩みに耳を傾け、ご相談者のいたみを緩和すべく寄り添った活動を続けております。
第6回「海外の事例に学ぶ作品発表をゴールに置かない活動のあり方と団体の運営」(特別回・逐次通訳あり)
鳥公園は、「広く演劇的営みのプロセスが生成される〈場〉」であり、演劇作品の上演(発表)をゴールにおいた活動だけを行っているわけではありません。なぜならば、良い作品が生まれるためには表に現れてこない様々な時間の過ごし方が必要で、作品に直結しない部分でもアーティスト同士がたくさん言葉を交わすことや、最終的な作品には残らないある意味「無駄」と思われる試行を重ねること、リサーチといったプロセスも演劇的営みの重要な部分だと考えるからです。しかし、このような活動のあり方は日本では一般的ではなく、残念ながら運営のモデルがあまりありません。そこでこの特別回では、作品の上演(発表)を必ずしもゴールとしない創作活動をマレーシアで実践しているアート・コレクティブ「Five Arts Centre」のメンバーJune Tan氏をお招きし、活動の実際や課題についてお話を伺います。
そして、演出家でユニット「したため」主宰であり、鳥公園の旧アソシエイトアーティストでもある和田ながら氏に、西尾とともに聞き手をつとめていただきます。
ゲスト
June Tan 生物学者、脚本家、アート・プロデューサー、アクティビスト
2015年より国際共同制作を手がけ、オーストラリア、ドイツ、ギリシャ、インド、インドネシア、日本、シンガポール、韓国、タイ、アラブ首長国連邦などで公演。2018年から2020年まで、TPAM(国際舞台芸術ミーティング in 横浜)のディレクターをつとめ、パフォーマンスの社会における活用を探求するパネルやプロジェクトに携わった。また、バンコク、メルボルン、ムンバイ、ミュンヘン、東京、サイゴン、ソウル、上海、横浜などでの作品発表や登壇多数。現在は気候変動に対するアクティビズムにも参加、マレーシアの森林保護などに取り組む連合のメンバーとして活動している。また、映画やテレビの脚本家として、Netflixや地域のストリーミング・プラットフォーム、またマレーシアとシンガポールの地上波テレビネットワークへの作品提供多数。
聞き手
和田ながら(演出家、したため主宰)
京都造形芸術大学芸術学部映像・舞台芸術学科卒業、同大学大学院芸術研究科修士課程修了。2011年に自身のユニット「したため」を立ち上げ、京都を拠点に演出家として活動を始める。主な作品に、多和田葉子の小説を舞台化した『文字移植』『祖母の退化論』、妊娠・出産を未経験者たちが演じる『擬娩』など。美術、写真、音楽、建築など異なる領域のアーティストとも共同作業を行う。2018年より多角的アートスペース・UrBANGUILDのブッキングスタッフ。2019年より地図にまつわるリサーチプロジェクト「わたしたちのフリーハンドなアトラス」始動。2020年度から3年間、鳥公園アソシエイトアーティストとして活動。NPO法人京都舞台芸術協会理事長。
撮影:守屋友樹